遥か古の時代、まだ自分が研究者だった頃にデータ分析に使っていた手法のひとつに偏Granger因果 (partial Granger causality) というものがありました。これはGuo et al. (2008)で提唱されたもので、当時は著者グループ提供のオリジナルMatlabツールボックスを使っていたのですが、仕事も変わりRやPythonをメインに使うようになってからは触る機会は全くなくなっていたのでした。
ところが、先日偶然その偏Granger因果について触れる機会があったので、もしかしてと思ってググってみたらR実装があることに気付きました。こちらの{FIAR}パッケージです。
とりあえずちょっと触ってみた感じでは、当時のMatlabツールボックスよりもGUIという面では弱いものの、一方でMatlabツールボックスでは未整備でユーザーが自分で書かなきゃいけなかったようなところは逆に整備されているということで、一旦は実用に耐えそうだという印象です。
ということで、今回の記事では偏Granger因果について説明しつつ、その{FIAR}パッケージを用いた実践方法について簡単に紹介してみることにします。なお、ここでは自分で延々とTeXで式を書くのは極めてだるい(どれも割と冗長な表現がされていて式の長さの割に大したことは言ってない)ので、個々の式に関しては最小限TeXで書くに留め、代わりに参考文献・資料へのポインタを示しておきます。詳しい数式展開が見たいという方はそれらをご自分でご覧ください。
続きを読む