渋谷駅前で働くデータサイエンティストのブログ

元祖「六本木で働くデータサイエンティスト」です / 道玄坂→銀座→東京→六本木→渋谷駅前

機械学習のビジネス上の価値を「効果測定」して「数値評価」する方法

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(Image by Pixabay)

気が付けば、日本における第一次データサイエンティストブームから6年、人工知能ブーム開始から3年が経ったようです。意外と言っては何ですが、これまでのところ人工知能ブームも、そしてそれにブーストされた形で起こった第二次データサイエンティストブームも、まだまだ続くどころかどんどん加速していきそうな状況です。


なのですが、これだけ統計学機械学習のような高度なデータ分析技術がビジネスの現場に浸透するようになった現在でも、なぜかあまり多く見かけないものがあります。それは機械学習(もしくは自動化された統計分析)によるビジネス上の成果を数値として示したもの」。意外かもしれませんが、個人的な観測範囲では例えば「Deep Learningを導入したら〇〇がXX%向上した」みたいなリリースや記事を見かけることは、正直なところ思った以上に少ないように思われます。それでも第一次データサイエンティストブームだった2013-14年頃はそういう事例記事を時々見かけましたが、最近はあまり見ない気がします。


それは単に、ビジネス的な競争力の根幹に関わる部分なので各社ともひた隠しにしているだけなのかもしれません。もしくは、もしかしたら実は世の中機械学習を導入しても特にビジネス上のプラスのインパクトがない事例ばっかりなのかもしれません。さもなくば、そもそもビジネス上のインパクトを「効果測定」して「数値評価」する枠組みを整えていないだけなのかもしれません。もしそうであるならば、これほど勿体無い話もないと思うのです。


第一次データサイエンティストブームから6年、そして人工知能ブーム開始から3年が経った今、データ分析業界がやるべきは「統計学機械学習やデータサイエンスでビジネス上の価値を数値評価できる形で出せた」という「成功事例」をもっと世に出していくことだと個人的には考えています。言い換えれば、そろそろ「論より証拠」の時期であろうと。そこで、そういう「効果測定」「数値評価」の方法としてどんなものがあり得るかを大雑把に論じてみようと思います。

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社内政治が上手くなりたいAIエンジニアのための本を書きました

個人的には2年ぐらいで萎むだろうと思っていた日本の人工知能(AI)ブームも4年目に入りそうで、「AIエンジニア」の採用数もうなぎ上りならその待遇もどんどん高騰する一方です。その反面、ブームに乗って企業に採用されたは良いものの、まだまだ保守的な文化の企業組織にうまく適応できず悩んでいるAIエンジニアも多いようにかなり以前から聞きます。

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そこで、そういう悩めるAIエンジニアが日本の企業組織の中で生き抜いていけるような「社内政治術」についての本があったら良いなということで、実際に書きました。題して『AIエンジニアのための社内政治術』です。発売日は調整中ですが、そろそろ各種書籍販売サービスで予約可能になるかと思います。以下に本書の目次を載せておきます。

目次

  • 第1章 なぜAIエンジニアの提案は通らないのか
  • 第2章 まずは会社にとけ込もう
  • 第3章 社内政治に強い「相棒」を探せ
  • 第4章 AIを「布教」しよう
  • 第5章 役員会を攻略せよ
  • 第6章 最後の手段「転職するべきでは」
  • 付録 AIエンジニアのための社内会話術

企業勤めのAIエンジニア・データサイエンティストあるあると、それぞれへの対処法についてまとめてあります。第1章ではAIエンジニアたちが置かれやすい立場のまとめについて触れ、第2章では会社にとけ込むために宴会芸を覚えたり社員旅行やイベント付き飲み会を企画したり社内大食いコンテストに自ら部門を代表して出場するなどのノウハウを列挙しています。第5章では全ての段取りが整った後にいよいよ役員会に突撃する際の実践的なアクションリストをまとめてみました。けれども万策尽きるということも多々ありますので、そういうケースに備えて第6章では(再)転職のノウハウについて触れてあります。


なお「AIエンジニアを雇ってみたが彼らが何を言っているか全く理解できない」という巷の声を多く聞きますので、逆側から見た対策として「AIエンジニアのための社内会話術」という付録をつけておきました。いきなり「勾配法が」とか言ってしまわずに「人工知能と言いますか機械学習というのは与えられたデータとモデルの予測値との間の誤差をできるだけ小さくすることでモデルの予測精度を上げるという仕組みなのですが、これは重回帰分析などでも使われる最小二乗法という誤差を徐々に小さくしていくアルゴリズムの一種で」と補足説明を長めにつけるなど、ビジネス側の人たちと円滑なコミュニケーションを進めるためのtipsをリストにしてあります。ご笑覧いただければ幸いですm(_ _)m


(※エイプリルフールネタです)

Googleに入社した時のこと

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東京オフィスのsoftware engineer (SWE)部門のsite leadのRyoichiさんがTwitter上でこんなことを呼びかけたところ*1GoogleSWE採用に関して多くの同僚から色々な記事やコメントが集まったようです。


僕はSWEではなく下記のような経緯があってglobal business organization(GBO: つまりビジネス部門)側に入ったので、僕の体験談を書いても「Googleに入社したい」というエンジニア系の人たちの参考にはならないかもしれませんが、ビジネス系の人たちの参考にはなるかもしれません。一人のデータサイエンティストとしてこんな経緯を辿ってGoogleに入ったのだという一つの例としてお読みいただければ幸いです。

*1:発端が誰かは見なかったことにしてください笑

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