渋谷駅前で働くデータサイエンティストのブログ

元祖「六本木で働くデータサイエンティスト」です / 道玄坂→銀座→東京→六本木→渋谷駅前

データサイエンティストという職業の10年間の変遷を振り返る


(Image by Gordon Johnson from Pixabay)

TL;DR 今年の6月に僕自身がデータサイエンティストに転じて10年という節目の年を迎え、10月でDavenportの「データサイエンティストは21世紀で最もセクシーな職業である」HBR総説から10周年になるのを機に、この10年間のデータサイエンティストという職業の変遷を振り返ることにしました。


6月の回顧録記事でも書いた通り、僕がデータサイエンティストの仕事に就いてから今年で10年になります。最近も同じかどうかは分かりませんが、古くから「10年ひと昔」という常套句がある通りで個人的には大きな節目の年だと感じています。

一方で、今年の10月にはあまりにも有名な「データサイエンティストは21世紀で最もセクシーな職業である」HBR総説が出てから10周年を迎え、後述するようにDavenportは「今もデータサイエンティストは21世紀で最もセクシーな職業か?」という総説を寄稿していたりします。


ということで、6月の回顧録記事ではデータ分析業界全体の10年分(正確には前半5年分にさらに後半5年分)の振り返りを書きましたが、今回は改めて「データサイエンティストという職業」の10年間の変遷を振り返ってみようと思います。とは言え、どちらかというとこの10年の間にこのブログで何度か書いたデータサイエンティストのキャリア論記事の振り返りに終始する感じになっているので、以前からこのブログをご愛読いただいている方々には「もう読み飽きたよ」という内容かもしれませんが、平にご容赦いただければと思います。


(※なおこの記事自体は公開後も何度か加筆修正されていますので、出来れば毎回最新版の内容をチェックしてくださると有難いです)

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データサイエンティストは何を勉強すべきか:「教養」と「必須」と「差別化」と


(Image by Wokandapix from Pixabay)

個人的な観測範囲での話ですが、データサイエンティストという職業は「21世紀で最もセクシーな職業」として刹那的な注目を集めた第一次ブーム、人工知能ブームに煽られて火がついた第二次ブーム、そして「未経験から3ヶ月で人生逆転」ムーブメントと折からのDXブームに煽られる形で沸き起こった第三次ブームを経て、何だかんだで社会に定着してきた感があります。


で、このブログを始めた頃からの連綿と続くテーマになっていますが、いつの時代も話題になるのが「データサイエンティスト(になるに)は何を勉強すべきか」ということ。7年前から恒例にしてきた「スキル要件」記事では、基本的には「どれも必要な知識(学識)」であるという前提で分野・領域・項目を挙げてきました。少なくとも、最初の3回ぐらいはそういう認識でスキル要件記事を書いていた気がします。


ところが、データサイエンティストブームが始まってから10年が経ち、取り巻く学術・技術的な環境も大きく様変わりしていったことで、自分が見ている範囲では「必ずしも必要だから学ぶわけではない」「そのため最近参入した人だと知らなくて当たり前」という項目が徐々に増えてきたように思います。代表的なのが近年のNN手法の隆盛で、例えば「Transformerなら幾らでも自分で組んで回せるけどSVMが何なのか全く知らない学生が沢山いる」みたいな話を聞くことも増えてきています。ほんの5年前なら聞かなかったような技術トレンドが今は主流どころか既に廃れ始めている、というような話はもはや日常茶飯事です。


ということで、今回の記事ではこの10年に渡るデータサイエンティストという職業の歴史を踏まえつつ、「ビジネス実務家として働くデータサイエンティスト(になるに)は何を勉強すべきか」について改めて考察してみようと思います。なおいつもながらですが、記事中に事実誤認や理解不足などがあればコメントなどの形でご指摘くだされば幸いです。

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企業で働くデータサイエンティストになって10年が経ちました

TL;DR 10年前の落ちこぼれポスドクが今は立派なデータサイエンティストになれたっぽいので、ポエムを書きました。業界事情の振り返りと、仕事の話、知名度が上がることの良し悪し、キャリアの話などを綴っています。


時が経つのは早いもので、落ちこぼれポスドクだった僕が企業転職をし、データサイエンティストになって今日で10年が経ちました。自分の中ではデータサイエンティストに転じたのはついこの前のことのように思える一方で、あまりにも多くの様々な体験をしてきたせいか「もっと時間が経っている気がするのにまだ10年しか経っていないのか」という気もしています。


今でも時々SNSで話題に上る回顧録を書いたのが3年前のことなんですが、それ以降は相変わらず同じく現職に留まり続けていることもあり、有体に言えばそれほど大きく変わったことはありません。なので、新たに3年間の振り返りを書くのではなく、回顧録で書き漏らしたことも含めて徒然なるままに書き綴ってみようと思います。ただし、気が付いたら現職には既に6年以上いることになり、ポスドク時代を含めても最も長く身を置いているのも現職という有様ですので*1、事実上現職の話が多くなってしまう点予めご理解ください。

*1:理研BSIは5年だった

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