渋谷駅前で働くデータサイエンティストのブログ

元祖「六本木で働くデータサイエンティスト」です / 道玄坂→銀座→東京→六本木→渋谷駅前

データサイエンス

「入試に数学を課さないデータサイエンス学部」は是か非か

最近の話ですが、以下のようなニュースが話題になっているのを見かけました。 データサイエンス系の学部は文理融合の学びを掲げ、文系の受験生も集めるため、受験科目に「数学」を含まない入試方式を設ける大学も少なくない。河合塾によると、私立大のデータ…

ビジネスにサイエンスを持ち込むということ

先日、『しっかり学ぶ数理最適化 モデルからアルゴリズムまで (KS情報科学専門書)』の梅谷先生がこんなポスト(ツイート)をされているのを拝見したのでした*1。個人的には「学問的なものでビジネスのボトルネックを解消する」や「学問的なものでビジネス…

「データ分析の民主化」の在り方を、「社員全員Excel経営」が「社員全員データサイエンス経営」へと進化していった事例に見る

以前こんな記事を書いたことがあります。「社員全員Excel経営」で名高い、ワークマン社のサクセスストーリーを論評したものです。2012年にCIOに就任した土屋哲雄常務のリーダーシップのもと、取引データの完全電子化を皮切りに「全社員がExcelを使いこなして…

シンプソンのパラドックスのはなし

今月はモデルナワクチンの2回目接種*1やら仕事でも負荷の高い分析業務やら、はたまた執筆*2やらでネタ切れなのもあってあまりブログ記事を書けていなかったので、最近話題になった件について簡単に論じてみようかと思います。元ネタはこちらです。 これはイ…

戦力になるレベルのデータサイエンティストを育成することの難しさ

(Image by Pexels from Pixabay)僕自身がデータサイエンティストという肩書きを与えられて働くようになった9年前から、一貫して問題意識を持ち続けてきたのが「データサイエンティストをどう育成すべきか」についてでした。その後、この9年の間に質の良し悪…

データドリブンの「文化」を組織に定着させる方法とは

(Image by Gerd Altmann from Pixabay)ハーバード・ビジネス・レビュー本誌に昨年3月に掲載された大御所ダベンポートの記事が、昨年末に日本語版の方に翻訳されて出ていました。今年初めに目は通していたのですが、ちょうどネタ切れで記事に困っていたので昨…

データサイエンティスト・機械学習エンジニア・データアーキテクトの定義とスキル要件(2021年版)

(Image by Dirk Wouters from Pixabay)この記事は毎年恒例のスキル要件記事の2021年版です。昨年版は以下のリンクからご覧ください。今回は、試験的に「データアーキテクト」についても触れています(詳細は後述)。残り2つの職種については基本的な内容はそ…

データサイエンティストにとっては「技術」も「課題解決」も等しく重要

旧知のシバタアキラさん*1が、こんなインタビュー記事に登場されていて話題を呼んでいるのを拝見しました。日本の第一次データサイエンティスト(DS)ブームの最初期から一貫してDSとして活動し、それ以前はポスドク研究者だったという、僕個人にとってはあま…

データ分析をする前に、まず生データを見てみよう

先日ですが、旧知の*1Grahamianさんのこんなツイートが話題になっていました。データ分析をするときシンプルに重要なことは「生のデータを眺める」と「データの分布をグラフにする」ことなんじゃないかと思うんですよね。すぐにクロスとかファネルとかコホー…

人類未曾有の危機に抗いながら、前を向く

これは年末恒例のポエムです。故に皆様にとって役に立ったりあまつさえ学術・技術的に価値ある内容などは何ひとつございませんので、予めご了承ください。

『AI・データ分析プロジェクトのすべて』は駆け出しからベテランまで全てのデータ分析者が読むべき仕事術大全

AI・データ分析プロジェクトのすべて[ビジネス力×技術力=価値創出]作者:大城 信晃(監修・著者),マスクド・アナライズ,伊藤 徹郎,小西 哲平,西原 成輝,油井 志郎,株式会社ししまろ発売日: 2020/12/21メディア: 単行本(ソフトカバー)旧知どころか僕が7年前に…

実験科学の考え方を転じて「ビジネスサイエンス」にする

ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか作者:酒井大輔発売日: 2020/06/25メディア: Kindle版先日までこちらの書籍を読んでいました。ここ数年「ワークマンのすごいデータ活用」としてそのデータ活用事例が大いにクローズアップ…

データサイエンス実務の典型的なワークフローを考える

元々Quora英語版で回答を書いた話題なのですが、「データサイエンティストの典型的なワークフロー」というのは当たり前の話題のようでいて意外と難しいトピックです。それこそ例えば巷の営業やエンジニアの人々に向かって「あなたの『職種』の典型的なワーク…

ビジネス実務の現場で有用な統計学・機械学習・データマイニング及びその他のデータ分析手法10+2選(2016年版)

そう言えば3年前にこんなまとめ的エントリを書いたのでした。この内容はそのままかなりの部分が2年前に刊行した拙著の原案にもなったということで、色々思い出深いエントリです。なのですが。・・・この3年の間に統計学・機械学習・データマイニングの諸手法…

グラフ・ネットワーク分析で遊ぶ(5):何となくNIPS2015の共著者グラフを描いてみた

先日閉幕したNIPS2015ですが*1、そう言えばサイト上に全論文のタイトル&著者一覧があるなと思い出したのでした。 ということで、これまでの4回のグラフ・ネットワーク分析特集で学んだことをこの著者一覧に応用してみようかと思います。やったことはごくご…

グラフ・ネットワーク分析で遊ぶ(4):コミュニティ検出(クラスタリング)

ネットワーク全体指標はあまりビジネス的に扱うことが多くないので、代わりに今回はコミュニティ検出(要はグラフ構造内でのクラスタリング)について取り上げます。ただし前回まで参考にしていた『ネットワーク分析』はあまりコミュニティ検出についてそこ…

グラフ・ネットワーク分析で遊ぶ(3):中心性(PageRank, betweeness, closeness, etc.)

ビジネス的に重要度が高いのがこの辺の話題ではないかな?ということで、今回は中心性(centrality)の話題を取り上げてみようと思います。参考文献はいつも通りこちら。 ネットワーク分析 (Rで学ぶデータサイエンス 8)作者: 鈴木努,金明哲出版社/メーカー: 共…

グラフ・ネットワーク分析で遊ぶ(2):最短経路長など

前回の記事に引き続き主に{igraph}の各関数で遊びながらグラフ理論・ネットワーク分析を学ぶこのシリーズですが、今回は様々なノード間の特徴量について見てみます。もちろん今回も参考文献はこちら。 ネットワーク分析 (Rで学ぶデータサイエンス 8)作者: 鈴…

グラフ・ネットワーク分析で遊ぶ(1):グラフ可視化・描画手法

ちょっと興味が湧いてきたので、今後しばらくグラフ理論・ネットワーク分析に力を入れてみようかなと思ってます。ということで『レ・ミゼラブル』の時同様にオープンデータセットを取ってきましょう。 Network data 今回使うのは"Neural network"。これは(…

データサイエンスでワインの味の評価を予測したい

Taste of Wine vs. Data Science from Takashi J OZAKI 先日、とある勉強会で話してきた内容がこちらです。ネタとしてはもう皆さんお分かりでしょうが、以前書いた記事の続きみたいなものです。 ある程度自動的にテイスティング・スコアが付けられれば、世の…

UCI機械学習リポジトリのデータ(など)で遊ぶ(2):『レ・ミゼラブル』の人物相関図

第2回にして既にUCIのデータセットではないんですが(笑)、ちょっと自分の練習も兼ねてご紹介。今回はグラフというかネットワークがお題です。ぶっちゃけ僕自身はグラフ理論&ネットワーク分析は全くもって真面目に勉強してないので、炎上ラーニングも兼ね…

KDD2014に行ってきました

KDD 2014, 8/24-27, New York: Data Mining for Social Good ということで報告が遅くなりましたが、行って参りましたKDD2014 in NYC。かつてアメリカ横断ウルトラクイズで福留さんの「ニューヨークへ、行きたいかーーー!!!」を毎年TVで見ていた世代*1とし…

シリーズUseful R『戦略的データマイニング』『金融データ解析の基礎』ご恵贈いただきました

戦略的データマイニング (シリーズ Useful R 4)作者: 里洋平,金明哲出版社/メーカー: 共立出版発売日: 2014/08/23メディア: 単行本この商品を含むブログを見る金融データ解析の基礎 (シリーズ Useful R 8)作者: 高柳慎一,井口亮,水木栄,金明哲出版社/メーカ…

『手を動かしながら学ぶ ビジネスに活かすデータマイニング』(技術評論社)を書くに当たって気を付けたこと&補足など(追記あり)

追記(2015/03/14) 第7章の決定木のところで取り上げた{mvpart}パッケージのサポートが切れ、CRANから削除されてしまったためinstall.packages関数ではインストールできなくなっています。現在のインストール方法を最後に追記しました。 追記(2014/09/18) 実…

今月下旬に『手を動かしながら学ぶ ビジネスに活かすデータマイニング』(技術評論社)という本を出します

本日、出版元の技術評論社(gihyo)様の公式サイトでオープンになりました。 手を動かしながら学ぶ ビジネスに活かすデータマイニング:書籍案内|技術評論社 そして書影はまだ反映されていないようですが、Amazonでも予約受付が始まった模様です*1。 手を動か…

アソシエーション分析+グラフ構造可視化 ({arules} + {arulesViz}) で教師あり学習の変数重要度を可視化する

グローバルTokyoRで何話そうかなー、と思っていたんですがそう言えば主賓がvisualizationの人なんだったっけなぁということで、可視化の話にでもしようかなと。ということで、僕の大好きなネタでもやろうかと思います。 それは、「とにかく{arules} + {aruls…

前処理なしのトランザクションデータを{arules}パッケージで読み込む方法

実は僕は結構頻繁に{arules}パッケージを使うんですが*1、個人的には汎用性を考えて必ず素性ベクトルの形になるようにデータを前処理して読み込むようにしています。例えばこんな感じ。 ビール ソーセージ 牛肉 ... 1 0 1 ... 0 1 0 ... 1 1 1 ... ... ... .…

「前処理」のフォーマット共通化やOSS化はできないんだろうか

ビジネスの現場のデータ分析における理想と現実 from Takashi J Ozaki 先日Zansaの会でお話してきたんですが、その際にShannon Labの田中社長からこんなコメントをいただいたのでした。 「実際のデータ分析の現場ではデータの前処理にかかる技術的・金銭的コ…

アルゴリズム実装=定量的ソリューション、アドホック分析=定性的ソリューション

これは先日うちの教授氏と話していて出てきた話題なんですが、 データ分析とは「データドリブンなソリューション」を提供すること アルゴリズム実装=定量的ソリューション アドホック分析=定性的ソリューション だよね、という。これは結構一般的なコンセ…

NIPS 2013に参加していました

12/4~12/9(現地時間)の日程で、当地米ネバダ州タホ湖で開催中のNIPS 2013に参加してました。内容的にはdeep learning, online learning, active learningまわりを軸に、朝一番のオーラルではビッグデータやビジネス展開の話も出るなど*1なかなか面白かっ…