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六本木で働くデータサイエンティストのブログ

元祖「銀座で働くデータサイエンティスト」です / 道玄坂→銀座→東京→六本木

さらば「ポジショントークとしてのデータサイエンティスト論」

我らがVapnikマン氏(@)が「データサイエンティストの○○」シリーズ完結編をslideshareにupされてました。


Vapnikマン氏の筆致もあっていつも通り大変面白く読ませていただいたんですが、このスライドへの反響を見ていて「?」と思ったんですね。あのー、皆さんこのスライドの「あとがき」pp.43-44のあたりをちゃんと読まれましたか?という。。。


今ある「データサイエンティスト論」の大半は単なるポジショントーク


最近本当にうんざりするほどたくさんのデータサイエンティスト論が流れてますが*1、そもそもそれを発信している人たちって何者なんだっけ?というのを考えながら並べてみると。。。

  • 「データサイエンティストは今後25万人不足する」 by データサイエンティスト養成コースの運営元
  • 「データサイエンティストは21世紀で最も魅力的な職業だがその実態は謎に包まれている」 by データサイエンティスト関連ムック本を売りたい著述家&書店
  • 「データサイエンティストを数多く揃える企業が今後は勝ち組になる」 by データ分析のコンサルタントを多数抱える大手SIer
  • 「データサイエンティストはデータ分析の専門知識よりもビジネスに貢献できるセンスが必要」 by 大企業のデータ分析案件を請け負う大手戦略コンサル
  • 「データサイエンティストはデータ分析のみならず現場のビジネス感覚にも通じていなければならない」 by 伝統的大企業の中でデータ分析カルチャーを定着させることに腐心してきた分析担当者
  • 「データサイエンティストなんてただのバズワードだし特に要らない」 by データ分析からシステム導入・事業改善提案まで一貫して行う中小コンサル
  • 「データサイエンティストよりもインフラエンジニアが最強だよね」 by 大企業インフラエンジニア
  • 「データサイエンティストなんて中途半端なスキルしかない所詮なんちゃって集団」 by 面倒なビジネス業務を避けて大学・研究機関や企業R&D部門でひたすら学究に勤しみ続けるガチの統計&アルゴリズム屋
  • 「データサイエンティストは分析ツールが発達すればいずれ不要になる」 by 分析フレームワークを販売するシステムベンダー
  • 「データサイエンティストは次世代の分析ツール+高級人材が6000人いれば良い」 by データを大量に持っていて事業に生かしている企業の分析担当者*2


と言った感じで、主張と発言者との組み合わせを見ると利害関係まるわかりというケースだらけなんですよね。まさにconflict of interestという言葉がしっくり来るような有様です。


つまり、世の中に溢れるデータサイエンティスト論のほぼ全てがただのポジショントークなんです。しかも、自分たちの商売を有利に進めたいという本音丸出しのものばかり。そりゃそうでしょ、鵜呑みにする人がいれば自分たちが儲かるような論だらけですから。


そういう意味ではVapnikマン氏みたいに「ポジショントークですよ」と言い切ってしまう人はまだ極めて親切な部類に入るとおもうんですが*3、世の中の大半はそうではありません。むしろ、真顔で「日本のビジネスシーンの未来がここにある!」みたいな空っとぼけたことを言いながらポジショントークを打つ人の方が多数派だと思います。


ポジショントークするなとは言わないが、「全部ポジショントークに過ぎない」という認識はもっと広まってもいいのでは


ぶっちゃけ、一企業人たる僕自身にとっても、自分の今の職場の仕事がうまく回れば十分だし、仕事のアウトプットがもっと良くなれば嬉しいし、自社が儲かればそれに越したことはない、そこさえ満たされていれば後はどうでもいい的な考えはあります。


そういう事情は誰でもどこでも同じことなんだから、みんなポジショントークしたっていいじゃん、と思わなくもありません。企業人である以上これは割と自然なことかと。


ただ、一方でこの新しく芽生えた「ビジネス界におけるデータ分析」というムーブメントには大きな意味があると思っていて、私人たる一個人としてはもっと業界全体を盛り立て、構造改革しなければ復活しないと度々言われている日本の企業経済を立て直す一助になればいいなぁとも考えています。だって、今までほとんどデータ分析なんかしてない企業だらけだったわけですから、試してみる価値はあると思うんですよね。


とは言え、ポジショントークの数々を並べてみると互いに相反するものがかなり多くて、これでは収拾がつかないんですよね。全員が局所最適(自分たちの利益)に走った結果、全体最適(日本のデータ分析業界の発展)があやふやになっていく、というか。


それはちょっと勿体ないと思うのでもう少しどうにかならんのか?とも思いますが、ひとまず「世にはびこるデータサイエンティスト論は全てポジショントークなので真に受けるな」というのを広く周知させるのは重要かなぁ、と思う次第です。


「これは僕のポジショントークですがー」から始まるデータサイエンティスト論、ほどよく醒めた感があって良くないですか?(笑)


最後に


この記事は「そんなポジショントークだらけだなんてことは前から知ってるよ、今更何言ってんだアホ」と仰るような賢明な人たちに向けた記事ではなく、世の中に山ほど溢れるデータサイエンティスト論をどれも鵜呑みにしてしまうようなナイーブな人たちに向けた記事ですので、念のため。


という、あれやこれやも(これまでのこのブログの記事の数々も含めて)全て「データを大量に持っていて事業に生かしている企業の分析担当者」としての僕のポジショントーク(笑)なので、これまたご了承あれ。

*1:いやお前がその筆頭だろというツッコミは勘弁

*2:要するに僕です(笑)

*3:何たって業界のトップランナーのひどさんですからー