だいぶ食傷気味の方も多いかもしれませんが、懲りずに今回もMMM (Marketing/Media Mix Modeling)ネタをやります。この度取り上げるのはこちらです。
そう、PyMC Marketing MMMです。あくまでも僕の観測範囲ですが、広く普及しているPyMCベースなのもあってか、群雄割拠するMMMライブラリの中でも比較的広く支持を集めているように見受けられます。
MMMは歴史の長いマーケティング分析手法で、その実装方法もそれに応じて多岐に渡りますが、近年ではJin et al. (2017)に準拠したベイジアンMMMが主流になりつつようです*1。そのオリジナル実装は僕の勤務先では社内版として利用できますが、それをJAX + NumPyroで再実装したのがLightweight MMM*2、そしてそこに色々なコンポーネントを追加して全面的にTensorFlow Probabilityで実装し直したのがMeridianです。
なのですが、先日の記事でも触れた通りMeridianには既存実装には見られない独特のfeatureが多く、時にはユーザーを困惑させることもあるようです。このためJin et al. (2017)により忠実な実装を求める声も少なくないようで、その代表格としてPyMC Marketing MMMが挙げられることもまた多いと伝え聞いています。
ということで、今回の記事ではそのPyMC Marketing MMMがどんなものかを公式のEnd-to-End Case Studyをなぞりながらレビューしてみようと思います。なお、今回ご紹介するコードは独立に取得した実データに対しても回ることを確認していますが、後述する事情もあり、芸がないのは承知の上で配布元指定のオープンデータを用いています。
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