Bula!*1
コロナ禍もすっかり落ち着いてようやく元通り恒例化した我が家の(一足早い)夏休み海外旅行ですが、今年は夏至のフィジーに行ってきました。我々としては初めてのハワイ以外のポリネシア方面への旅になったのですが、事前の期待以上に素晴らしいところで大いに満喫してまいりました。
ということで、いつも通り旅行の記録を兼ねつつ「次回また訪れた時のための備忘録」としての旅行記を綴っておこうと思います。なお我が家は今回が初のフィジー訪問で、フィジーの常連というわけでもなく況してや語学留学や定住などで長期にわたって滞在していたりするわけでもありませんので、事実誤認などあればご指摘くだされば幸いです。
フィジーについて
フィジー共和国と言えば、例えば日本でも活躍するラグビー選手を輩出するラグビー強豪国といった側面からご存知の方も多いかもしれません。ただ、「フィジーがどこにあるか」を地図を見て即答できる人は意外と少ないのではないでしょうか。正直言って南太平洋の地理に詳しくないとはっきり「ここだ」とは言えないかもしれませんが、「ニューギニアから東に向かって引いた線とニュージーランドの北島から北に向かって引いた線とが交わるあたり」にフィジーはあります。日本との時差は3時間*2です。
(User:Kahuroa - Outline: File:World2Hires filled mercator.svg; Map information based on Vaka Moana: Voyages of the Ancestors - the discovery and settlement of the Pacific, ed K.R. Howe, 2008, p57., パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=12011484による)
実は勘違いしていたんですが、以前ハワイ・オアフ島のポリネシアンカルチャーセンターに行った際にフィジー村があったのでてっきりポリネシアの国だと思っていたら、正しくはメラネシア(の東の端にしてポリネシアの西の端)の国なんですね。フィジーの本島であるビチレブ島は直訳すると「大フィジー島」で、実際にニュージーランドとハワイを除くとポリネシアのどの島よりも大きく、人口も多いとのことです。このため、首都スバは南太平洋諸地域を代表する大都市という位置付けになっているようです。また、フィジーの空の玄関口であるナンディ国際空港はトンガやツバルさらにはキリバスといった国々へのトランジット拠点でもあり、南太平洋の多くの島国へと通じる玄関口としての役割も果たしているそうです。
旧イギリス植民地にしてイギリス連邦加盟国ということもあり、公用語は英語。このため、近年は日本でも語学留学先として人気が高まっているそうで、実際我々がフィジー旅行プランを立てる際にも現地留学生・留学経験者の方々のブログなどを参考にしたりしています。また、植民地時代にイギリス本国の政策でインド系移民が多く移住してきたため、古来からのフィジー系の文化に加えてインド系の文化も定着しています。
ホテル
今回はフィジー初訪問ということで、比較的堅実なホテル選びをしました。今回滞在したのはSofitel Fiji Resort & Spa。読んで字の如くソフィテル系列のホテルで、デナラウ島内のリゾート地区にあります。ナンディ国際空港からはタクシーで20-30分ぐらいの距離です。
流石はソフィテル系列らしくラグジュアリーな雰囲気に満ちた造りのホテルで、今回選んだ2クイーンサイズベッドルームもゆったりしていて過ごしやすかったです。ホテル棟の構造上、全室オーシャンビューだと思われます。
リゾート地区内の典型的な大型ホテルゆえ(おそらく)オーストラリアやニュージーランドから来たと思しき親子連れの客が多かったのですが、大型ウォーターリゾートがあるというわけでもなく、あるのは大人向けの深いゾーンと子供向けの浅いゾーンとが一体化した大きなプールのみ。むしろ海側にWaitui Beach Clubという完全大人向け(子供同伴不可)の広いエクスクルーシブゾーンが設けられており、比較の問題でいうと「大人向けラグジュアリーリゾート」といった方が正しいのでしょう。ホテル内にはフィジー全域でもトップ評価を得ているレストランが点在しており(後述)、それこそホテル内に全日程とどまったとしてもそれなりに楽しめると思われます。
またホテルのスタッフも非常に対応がきめ細かく、心地よく滞在できました。特にフィジーの正装であるブラシャツとスル(スカート)をまとったガタイが良く長身揃いの男性スタッフたちや伝統柄のワンピースをまとった女性スタッフたちから、事あるごとに "Bula!" と気さくに声をかけてもらえたのが印象に残っています。
デナラウ島について
デナラウ島はフィジーの本島であるビチレブ島の北西の一番端に位置しており、高級ホテルや高級ヴィラ、別荘地やマリーナ、さらには多数のゴルフコースが造営されているリゾート地区です。島に通じる道路にはゲートが設置されており、ある程度車と人の出入りが管理されているようで、夜でも一人歩きして問題ないくらいには治安の良い場所です。
中心部に当たるデナラウ・ポートにはちょっとしたショッピングモールがあり、飲食店も多く入っています。高級ホテルの付設レストランの食事に飽きたら、ここで食事を楽しむこともできます。またスーパーもあり、生鮮食品・スナック・酒・衛生用品などが買えます。ソフィテルからは徒歩15分ほどの距離だったので、我々は毎日一度は散歩を兼ねて出向いてランチや買い物などをしていました。
今回我々は行きませんでしたが、デナラウ・ポートからは近海にある離島へのツアー船も出ており、ポート周辺や船舶ターミナルにはオプショナルツアーの業者が沢山店を構えています。後述するナンディ周辺観光も、沢山ある業者の中で声をかけてきた一軒に手配してもらったものだったりします。
フィジーのグルメ
後述する観光タクシーのドライバーさんからは「タロイモ(キャッサバ)の煮込み料理がヘルシーで美味しくてフィジーを代表する味覚だよ」と教わったものの、結局今回我々はTripAdvisorなどのレビューを参考に人気レストランを巡るに留まりました(笑)。以下その記録を並べておきます。
デナラウ・ポートのIndigoでの2日目(フィジー到着日)のランチ。ニルギリ・フィッシュカレーとシークカバブです。噂に聞く通りカバブはシャープな辛さが、フィッシュカレーは豊富なスパイスで香り高く、美味でした。
ソフィテル内のベトナム料理レストランMadam Soでの2日目のディナー。何故ここでベトナム料理?と思ったんですが、そう言えばベトナムは旧フランス植民地なのでホテルとして縁があるんですね。生春巻きは言わずもがな、サーモンの刺身仕立ても牛肉炒めも美味しかったです。
3日目のランチに食べた、デナラウ・ポート内のWICKED Fish & Chipsのフィッシュ&チップス。TripAdvisorのレビューは散々ですが、我が家的には割と変わり種感のあるインド系?の味わいで美味しくいただきました。
3日目のディナーは、デナラウ地区で最も評価の高いソフィテル内のWaitui Bar & Grillにて。本当はTボーンステーキが良かったんですが、この日は骨付き肉が入荷していないということでフィレ肉を選択。流石はデナラウで一番というだけあって、素晴らしい美味でした。スタッフのサービスも行き届いていて良かったです。
4日目のランチは、ナンディのビーチ沿いにあるSailor's Beach Fiji Restaurant and Barにて。マサラ・フライドフィッシュと、確かその日のスペシャルに載っていたチキンティッカ・ピザです。こんなメニューまでインド風なのかー、と感心しておりました。
最後の4日目のディナーは、デナラウ・ポートにあるBonefish Seafood Restaurantにて。いわゆるロブスター・プラッターなんですが、大きなヤサワ島産のロブスターは勿論のこと一緒についてきたキハダマグロのタタキ風ステーキも非常に美味しかったです。
ナンディ周辺の観光地
先述の通り、4日目の日中にデナラウ・ポートのツアー業者に手配してもらった観光タクシーでナンディ周辺の観光地を巡ってきました*3。以下ダイジェストとして特筆すべきスポットだけ抜粋して紹介しておきます。
サンベト泥温泉
サンベト泥温泉はフィジー観光のガイドブックやブログ記事類を見ると必ずと言って良いほど取り上げられている観光名所で、かつて日テレ「世界の果てまでイッテQ」でも取り上げられたことがあるそうです。いわゆる泥パックが楽しめるところで、お肌に良いということで特に女性には人気があるようです。ちょっとググっただけでも詳しい解説記事が色々出てくるので*4、これから行ってみたいという方々向けの情報だけ記しておきます。
まず、行き方ですが我々のように現地ツアーなどで観光タクシーをチャーターするのが最も簡単だと思います。というのはSleeping Giantという大きな山の麓の、さらに幹線道路から脇に入った砂利道を延々と4kmも車で走った先にある上に、泥温泉での所要時間も1時間以上ぐらいかかるので、例えば普通のタクシーなどで行くと現地で待ってもらうための交渉なども必要になるからです(有名な観光地なのでどのドライバーさんもその辺は織り込み済みだと思いますが)。
次に、温泉に入るので水着*5とバスタオル*6は必須で、場内での移動を考慮して最初から裸足にサンダルで向かった方が無難です。また、入場料は現金のみなのでこれも必要です。更衣室と手荷物預かり所*7は設置されているので、着替えと所持品の管理も心配は要りません。そして泥温泉の入り方ですが、案内の女性が全部ついて回ってくれるので言われた通りにやっていれば大丈夫です*8。我々が行った時は
- まず泥を全身に塗る(塗り残しが出やすいので他の人と互いにチェックすると良い)
- 泥が乾いてパック状になるまで待つ
- 乾いたところで1つ目の温泉に入って泥を洗い落とす
- その後2つ目の温泉で残った泥を完全に落としながら温まる
- マッサージを受ける(15分:ちなみに別料金)
- 最後に3つ目の熱めの温泉でしっかり温まる
という流れでした。なお5つ目のマッサージが曲者で、これは入場料に含まれておらず後で料金を払う必要があります*9。また、1つ目と2つ目の温泉は長年に渡って多くの人たちが泥を落としまくった結果、底が泥と砂利だらけでズブズブになっていて足を取られやすい&足に傷口でもあると砂利などが引っ掛かって何が起きるか分からないので、ご注意を。
旅をしていて気付いたこと・注意点など
このブログの旅行記恒例の備忘録コーナーです(笑)。またいつかフィジーを再訪した時に備えて、さらにはこれからフィジーに行ってみたいという方々のために、今回の旅行で気づいたことや注意点を記しておきます。
サングラスと日焼け止めは必須
夏至の時期の南半球ということで、一応年間で最も太陽が低い位置にあるはずなのでそこまで陽射しは厳しくないだろう……と思ったら大間違いでした。南半球とはいってもフィジーは低緯度(南緯18度)なので、夏至だろうが何だろうがとにかく日が高いんですね。しかも、この時期のフィジーは常に南東貿易風が吹いており、湿気を殆ど感じない分だけ陽射しもストレートに照りつけてきます。ちなみに、観光タクシーのドライバーさん曰くは「冬至の時期は灼熱地獄」だそうです*10。
ということで、サングラスと日焼け止めは必須です。……なのですが、愚かにも今回に限って僕はテニスバッグに入れてあった眼鏡装着型のサングラスを持ってくるのを忘れてしまい、仕方なくデナラウ・ポートでわざわざサングラスを買う羽目に。さらに日焼け止めも真面目に塗らなかったので、元々テニス焼けで地黒なのがもっと真っ黒に焼けてしまいました。皆様もフィジーに行かれる際はお忘れなく。
物価は高くもないが安くもない
今回はあまり真面目に物価をチェックしなかったので正直何とも言えないんですが、我々が滞在中は1FJD=70円ぐらいの相場で、尚且つ生ビールの価格は以下のような感じでした。
- Waitui Bar & Grillの生ビール(デナラウ島内&ソフィテル内):9.95FJD
- Bonefishの生ビール(デナラウ島内):5.50FJD
- ナンディビーチの生ビール(デナラウ島外):5.30FJD
生ビールが一番高くても700円ぐらい、安ければ400円を切るということで、歴史的円安&世界的物価高の中にあってもそこまでフィジーの物価が高いということはないという印象です。ちなみに前出のWaitui Bar & Grillで食べた牛フィレ肉のステーキ(300g)が75FJDつまり5200円ぐらいなので、これもソフィテルの中ということを考えるとそこまで高くはないのではないでしょうか。少なくとも伝聞の範囲では、物価高が顕著なハワイ辺りに比べたら全然物価は高くない気がしています。
ただ、いわゆる「途上国的な物価の安さ」みたいなものはない印象で、ナンディタウンの商店に入っても例えばバスタオルは30FJDぐらいしていたので、物価は高くもないが安くもないというのが個人的な感想です。
タクシー含めてデナラウの外側では現金が必要
デナラウ島内では流石リゾート地区だけあって大抵の店や施設でクレジットカードが使えますが*11、島を出てナンディタウンとかに行くと途端に現金のみという店が増えます。また、タクシーも現金しか受け付けていません。おまけに、現地ツアー業者でも手数料を嫌ってか「ナンディ周辺観光などの短距離で安価なツアーは現金のみ」みたいなことがあったりします*12。
これはもう仕方ないので、事前にナンディ空港やデナラウ・ポートにある両替所で日本円をフィジードル(FJD)に両替することをお薦めします*13。ナンディ国際空港〜デナラウ島のタクシー運賃が30-45FJDぐらいなので、最低でも100FJDぐらい、現地ツアーに参加する予定があるなら500FJDぐらいは用意しておくと無難かなと思います。
トイレはどこに行っても水洗で衛生的
個人的に最も感心したのがこれです。流石はFiji waterを名産品として輸出するほど水資源が豊かな国ということで、本当にどこに行ってもちゃんとした水洗トイレがあります。この「どこに行っても」は全然冗談でなくて、山の麓の砂利道を延々と走った先のど田舎もいいところにあるサンベト泥温泉にすら、水洗トイレがある上に石鹸も置かれた洗面所までありました。デナラウ・ポートでも飲食店ごとに自前のトイレを設置していたくらいで、施設全体で共用のトイレしか置かないのが日本でも普通であることを考えると特筆に値すると思います。
ちなみに恐らく同じ理由によるものなんでしょうが、ナンディの街中の商店などに入っても床のタイルがどこも綺麗なんですよね。タイルを綺麗に掃除するにはモップがけが欠かせないわけですが、モップに使う水にも余裕があるということなのでしょう。海外の島嶼というと水回りが貧弱であまり衛生的でないところもチラホラあったりしますが*14、フィジーに関する限りは水が豊富で何かと清潔で衛生的という印象でした。
ただし、各種フィジー情報webサイトによるとビチレブ島以外の離島などでは水事情が悪いところもあるらしいので、あくまでも「ビチレブ島に限る」かもしれないということを付記しておきます。
買い物をするならデナラウ・ポートが便利
デナラウ島自体の紹介でも触れましたが、島内の各ホテルとデナラウ・ポートを結ぶバスが頻繁に走っているので、買い物の類をするのであればデナラウ・ポートに行くと便利です。日用品や土産物などであればJack's(ハワイで言うところのABC Store)が、生鮮食品やスナックさらにはお酒などであればYee's Xpressmartというスーパーがあり、大抵のものは手に入ります。
我々の場合、ホテルの部屋で飲むためのワインなどはYee'sで買っていました。見た感じではやはりオーストラリア・ニュージーランドのワインが多く、あとはシャンパンを中心にヨーロッパ産のワインもありましたがやはりちょっと割高でした。なおツアー船ターミナルの隣に酒屋があって、リキュール類とワインを多く取り扱っていましたが、ヨーロッパ産のワインは大体日本の2倍ぐらいの値段がしていました。まぁ南太平洋のど真ん中まで運んでくる手間賃を考えれば不思議ではないのですが……。
デナラウでは海水浴できるビーチは限られる模様
これは現地に行ってみて初めて知ったんですが、ソフィテルのビーチではほぼ誰も海水浴しないんですね。ジェットスキーを楽しんでいる客はちらほらいたものの、波打ち際で海水浴に興じている人は本当に一人もいないという。水着姿の客はホテル内のプールにしかおらず、到着した日の夕方にビーチを散策した我々は「何でだろう?」とちょっと訝ってました。
理由が分かったのは翌朝のこと。「ビーチが急な坂になっていてちょっと沖に進んだだけで急激に深くなる」んですね。実は、我々が行った日は宵の口に満潮で朝が干潮だったんですが、改めてビーチで良く見たら満潮の時の海水面と干潮の時の海水面とでは高さが2mぐらい違う一方で、水平方向で見ると15mぐらいしか距離がなかったのでした。つまり「波打ち際から15m沖に進むと2mぐらいの深さになる」ようなビーチというわけで、実際に干潮時の波打ち際から浮きをつけて張られている遊泳可能ゾーンを示すロープ(とネット)も非常に狭い範囲しか囲んでおらず、去年行ったグアムのビーチ*15とは対照的だなと思った次第です。
ちなみに、ナンディ周辺観光で立ち寄ったナンディのビーチはもっとなだらかな砂浜と遠浅の海が続くようで、海水浴を楽しむならそちらの方が良さそうです。実際、こちらには海水浴客がまばらながらいました。
シーフードを食べる際はwalu(バラムツ)に要注意
フィジーのシーフードレストランの中にはwaluという、マグロの大トロのようなとろける脂身が美味い魚を売りにしているところがチラホラあるようです。前出のBonefishもwaluを前面に押し出したメニュー構成なんですが、このwaluというのは実は日本で言うところのバラムツらしいんですね*16。上記のバラムツのWikipedia記事の英語版にもはっきり "walu" と書いてあるので、恐らく間違いないです。
ご存知の方も多いかと思いますが、バラムツは消化困難な油分を大量に含む魚で日本では「毒魚」として流通が禁止されています。ネット上には自前で釣って試食した人の体験記が幾つかありますが*17、どれを読んでも多かれ少なかれ大変なことになっているようです。ただ、バラムツが規制されているのは日本の話で、海外ではバラムツだということを明記さえしていれば流通して良いという国が少なくないようで、フィジーもその一つだということなんですね。
で、僕は何を隠そうお腹が弱い民なので、waluがバラムツだと気付いた時点で注文すること自体を見合わせました(正確にはwaluを別の魚に代えて出してもらった)。ということで、もしこれからフィジーに行かれる方がいらっしゃいましたら、シーフードレストランでは選んだ料理にwaluが入っているかどうかに注意した上で、実際にwaluを食べるかどうかは自己責任で決めることをお薦めします。日本と違って焼くなり揚げるなりして火を通しますし、一切れ二切れぐらいなら食べても大丈夫かもしれませんが、念のため。
フィジーならではの "welcoming" なカルチャー
今回の旅行で最も印象的だったのが、フィジーの人たちのフレンドリーさ。とにかくホテルに限らずどこに行っても、目が合えば皆 "Bula!" と気さくに挨拶してくれますし、商店ならすぐにあれが良いこれはどうですかと勧めてくれますし、レストランでも声をかけてくれるだけでなく客のことをよく見ていてくれてグラスが空になったりするとすぐに聞きに来てくれたりするんですよね。我々が日本から来たと知るや「日本人の友達がいてね、〇〇さんと言って云々」という感じで日本人とのエピソードを披露してくれる人たちも多かったです。
極め付けが観光タクシーのドライバーさん(ジョンさんという方でした)で、とにかく何でも色々と話してくれて面白かったです。彼が生まれ育った村のこと、子供たちが通っている学校とその制服のこと*18、フィジーではマクドナルドは高価だということ、お薦めのフィジー料理はタロ(キャッサバ)のスパイシーなココナッツミルク煮込みだ、などなどナンディ周辺観光の間話すネタが尽きず、楽しい時間を過ごせました。
その彼が強調していたのが、フィジーの人たちはとにかくお互いにwelcomingで、engagingだということ。曰く「フィジーでは都市は多くなく大半の人たちが村々に住んでいるので『コミュニティ』としてのあり方を非常に大切にしている」のだそうです。故に、見知らぬ人同士でも気さくに挨拶を交わし、すぐに様々な話題を話して触れ合って親しくなり、何くれとなく助け合って、互いの絆を築いていく……というカルチャーこそがフィジーの魅力だと語っていました。このカルチャーこそが、我々がフィジーで感じた居心地の良さのもとになっていたのかもしれません。先述の語学留学生の人たちのブログ記事などでも「一度でもフィジーに住むと離れがたくなる」という趣旨の感想を多く見かけましたが、きっとそういうことなのでしょう。
余談ながら。そのドライバーさんはナンディ・デナラウ周辺に沢山の従兄弟がいるそうで(実際にツアー中も警察官含めて何人かの従兄弟と出くわして挨拶を交わしていた)、その一族の誇りだと言って常日頃持ち歩いているという曾祖父の写真を見せてくれたのでした。それがこのアポロシ・ナワイという人です。
調べるまで知らなかったのですが、何とこのドライバーさんの曾祖父こそが、フィジー人たちの民族運動を史上初めて展開した、フィジー独立の父ともいうべき人物なんですね。我々は、その曾孫と偶然にも出会ったというわけです。今回のフィジー旅行で印象に残ったものは非常に多いのですが、このドライバーさんとの出会いが僕にとっては最大のハイライトでした。
フライトと旅行のプランニングについて
今回の旅行では、往復のフライトともフィジー・エアウェイズを利用しました。現状ではこれが日本とフィジーとを結ぶ唯一の直行便で、火曜・金曜の週2便運行しています。往路は成田を夜出発してナンディに翌朝到着、復路はナンディを午後出発して成田に同日夜到着するというフライトスケジュールです。飛行時間は9時間ほどで、東京から南半球に行く便で言えば「ゴールドコーストよりは遠いがシドニーよりは近い」ぐらいの距離感です。使用機材はA330-200で、まだ機齢10-15年前後と比較的新しい機材という印象でした。
そして去年のグアム旅行と同様、今回も血栓症*19への影響を慮って往復ともビジネスクラスを利用しました。流石にチケット代はグアムの時の2倍以上しましたが、これはもう必要経費ということで。その代わり、成田ではワンワールドのアライアンスメンバーということでJALのさくらラウンジが使え、ナンディではフィジー・エアウェイズのプレミアムラウンジが使えました。
さくらラウンジはちょうど夕飯時だったので好都合だったのですが、フィジー・エアウェイズのプレミアムラウンジはあいにくと朝食と昼食(機内)との間だったので、ちょっとお茶やカクテルを飲むぐらいしか出来ませんでした。まぁ、搭乗前にゆっくりさせてもらえましたということで。
ビジネスクラスの座席は、最近流行りのボックス式ではなく通常の椅子式のもの。ただし就寝時には8度の角度までフルフラットになる仕様で*20、中距離路線としては十分なスペックだと思います。
ビジネスクラスなので、機内食もフルサービスで出てきます。ワインは泡がシャンパンで、白赤はオーストラリア・ニュージーランド産がメインでした。消灯時間になると、CAさんが座席をフルフラットにしてベッドメイキングしに来てくれます。
……という感じで至れり尽くせりだったんですが、たった一つだけ困ったのが往路の機内サービススケジュール。成田21:25 (GMT+0900)発〜ナンディ09:30 (GMT+1200)着で、所定の飛行時間は9時間5分。なのですが、今回は梅雨前線が北上する中で成田を出発したせいもあってしばらく揺れる時間帯が続いて、夕食が出てきたのが日本時間23:00前後。ここからは少しでもぐっすり眠りたかったんですが、機内が消灯されたのは日本時間24:00-03:30ぐらい。そこから間もなく照明が点いて朝のサービスと朝食の提供が始まってしまったので、実質まともに寝られるのは正味4時間弱といったところでした。そして元々機内で寝るのが苦手な僕は案の定眠れず、ほぼ徹夜でナンディに降り立つ羽目になりましたorz
これは夜行便の宿命なので仕方ないんですが*21、あえて言うなら消灯時間をもう1時間半ぐらい長くしてくれたら良かったかもという感想でした。CAの皆さんは大変にサービス精神旺盛で何でもテキパキとやってくださって本当に有難かったものの、欲を言えばもうちょっと翌朝に備えて長く寝たかったです……ということで。
そんなわけで、到着した土曜日は寝不足だったのとホテルのチェックイン(14時)待ちとで大したことができず、本来は4泊5日の旅程だったのですが実質2泊3日ぐらいだったというのが偽らざる感想です。これらの事情を勘案すると、普通に金曜出発&翌金曜帰国の7泊8日スケジュールにした方が良かったかなぁ……という反省があります。勿論7泊にするとその分コストがかかりますが*22、フィジーの爽やかな風土とwelcomingなカルチャーに浸りながらのんびりとバカンスを過ごせるのであれば、それでも十分過ぎるくらいお釣りが来るのではないかと思っています。
おまけ
ソフィテルの朝食ビュッフェ。インド料理コーナーもあって、ロティとライス(長粒種)にベジ・マサラとポリヤルが供されていて美味しかったです。
デナラウは西に面しているので、夕陽が美しかったです。実は僕個人の動機としては「絶海の孤島から望む夕陽」が見たくて、毎回南の島々へ旅行に行っていたりします。
帰路のフライトは午後出発だったので、フィジー近海の島々が色々と望めました。流石と言いますか、珊瑚礁の綺麗な島が多かったです。
去年のグアムからの帰りは九十九里浜から日本上空に入ったのですが、今回は北側進入ルートだったので銚子からでした。ともあれ「日本に帰ってきたなぁ」と感じた瞬間でした。
*2:フィジーはサマータイムを導入しているので11-1月は時差が4時間に増える
*3:料金は確か半日で280FJDぐらいだった
*4:例えばこちらなど→『世界の果てまでイッテQ』でも紹介されたサンベト温泉(MUD POOL)|育休移住.com
*5:着替えの手間を考慮して最初から服の下に水着着用で向かうと手っ取り早い
*6:デナラウ・ポートのJack'sなどで買うと良い:泥がつく可能性もあるのでホテルのバスタオルは持ち出さない方が無難
*7:単に荷物置きスペースに見張りのスタッフがついてくれるだけですが
*8:写真撮影もスマホやカメラをその女性に渡せば適当に何枚も撮ってくれる
*9:なお恐らくマッサージを断ることは可能なようだが見ていた範囲では断った人は一人もいないので真相は不明
*10:南回帰線付近なので太陽が真上に昇る
*11:ただしAMEXは店によっては使えない模様
*12:離島ツアーなど高価なプランだとカード可だったりする
*13:国内で刊行されている旅行ガイドではホテルでも両替できると書かれているが、ソフィテルでは対応していなかった
*14:例えばバリ島なんかはリゾート地区の外に一歩出ると結構アレだった
*15:グアムに行ってきました - 渋谷駅前で働くデータサイエンティストのブログ
*16:食べると下痢をする魚?!《フィジー旅行記④》 | すべての国がオモシロイ!岐阜からアフリカ好き的世界旅~現在169か国
*17:尻から油を出さずにバラムツを食べたい :: デイリーポータルZ
*18:学校の制服も男女ともスカートなのです
*19:深部静脈血栓症(DVT)に罹りました - 渋谷駅前で働くデータサイエンティストのブログ
*20:JAL/ANAでも以前採用していた「椅子式だがフルフラット可」のやつです
*21:以前シンガポールに夜行便で飛んだ時は羽田22:55発〜チャンギ04:55着で飛行時間7時間だったのでほぼ眠れなかった
*22:ソフィテルだと6泊しただけでもジョークみたいな金額になる